■清水寺の激坂で行われる「信濃山形清水高原サイクルロードレース」

長野県の山形村西方の清水高原に最大斜度24%の激坂があります。急斜面の為、滑り止めの亀甲模様の凹凸があるコンクリート舗装になっています。この激坂で毎年「信濃山形清水高原サイクルロードレース」が行われています。

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外国でもこの様な激坂が舞台の自転車ロードレースがあります。その名は「ロンド・ファン・フラーンデレン(蘭: Ronde van Vlaanderen)」、ベルギーのフランデレン地域を走る自転車レースで、日本ではフランス語のツール・デ・フランドル(Tour des Flandres)の名前でも知られています。石畳の激坂が有名な大変人気のあるロードレースです。

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フランダース地方の山と石畳 | ベルギー・フランダース政府観光局より
"1913年から行われている「ロンド・ファン・フラーンデレン(ツール・ド・フランダース)」は、欧州で最も伝統あるクラシックレースとしてロードレース・ファンにはおなじみの国際大会です。1日で250kmを超える過酷なルートを走破することで知られ、その様子は毎年世界に向けてテレビ中継されます。ベルギー、北フランス、オランダで行われるクラシックレースの中で一番初めに開催されるため、自転車シーズンに春を告げるイベントとしても親しまれています。たくさんの人が、黄色地に黒いライオンをあしらったフランダース地方の旗を振り、沿道で応援している様子からは、自転車競技が、まさにベルギーの国民的スポーツであることがわかります。開催前日には、大会のコースを走る一般参加者のレースも行われます。"


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wikipediaより

フラーンデレン(蘭)、フランドル(仏)、フランダース(英)。呼び方は国によって異なりますが、童話『フランダースの犬』の舞台になった地方でもあり、4声によるポリフォニー音楽に代表されるフランドル楽派の出身地でもあります。


Jacob Obrecht: Missa de Sancto Donatiano: Kyrie


■清水寺の激坂は名付けて「TEMPELMUUR(テンプルミュール)」

その「ロンド・ファン・フラーンデレン」のコースに「KAPELMUUR(カペルミュール)」という石畳の激坂がありました。(今はコースから外れている様です。) KAPEL(カペル)とは教会、MUUR(ミュール)とは壁のこと。教会の壁。その名の如く、その道の頂上に教会があります。

「清水寺の激坂」もその名前の通り、近くに清水寺というお寺があります。古文書によると京都の清水寺とも所縁がある様です。



オランダ語でお寺はTEMPEL(テンプル)、壁はMUUR(ミュール)、つなげればTEMPELMUUR(テンプルミュール)。清水寺の激坂はその地域性から「カペルミュール(教会の壁)」ならぬ「テンプルミュール(寺院の壁)」と言っていいかも知れません。


■清水寺の激坂は「信州のKAPELMUUR(カペルミュール)」

日本の…と言いたいところですが、控えめに、清水寺の激坂は「信州のカペルミュール」です。ええ控えめに。でも本当のところはどうなのでしょうか?それでは実際にデータで比較してみましょう。

[清水寺の激坂の亀甲路] 区間距離1510m、平均斜度10%、最大斜度24%
[カペルミュールの石畳] 区間距離1075m、平均斜度9.3%、最大斜度19.8%

ほぼ互角というか、清水寺の亀甲路の方が距離も斜度も若干上回っている様です。優劣は兎も角、風景こそ違いますが、清水寺の激坂は"日本でカペルミュールを疑似体験できる場所"と言っていいのかも知れません。遠い外国ではなく身近な日本でカペルミュールの激坂スペックを実際に体験できるなんて素晴らしいことの様に思えます。


■清水寺の激坂は「フランドルの激坂に勝るとも劣らない場所」

フランダース地方の山と石畳 | ベルギー・フランダース政府観光局より
"ロンド・ファン・フラーンデレンにも登場するミュール(Muur 壁の意)と呼ばれ、ときに20%を超える急こう配の石畳は、プロスポーツとして現代ではありえないような過酷さを持つコースです。しかし、これはベルギーの自転車レースにはなくてはならないもの。フランダース地方には「フランドリエン」という尊称がありますが、これは石畳の急坂にも臆することなくレースを戦う、不屈のフランダース人の精神に敬意を表したものです。よく知られている石畳の道は コッペンベルグ(Koppenberg)、 クワーレンモント(Kwaremont)、ケンメルベルグ(Kemmelberg)、カペルミュール(Kapelmuur)、パーターベルグ(Paterberg)です。旅行者が実際に自転車で走ってみることも可能です。"


「ロンド・ファン・フラーンデレン」のコースには上記の様ないくつかの石畳の激坂があります。折角なのでデータで比較してみましょう。1位を赤く2位を青くマークしてみます。

[清水寺の激坂] 区間距離1510m、平均斜度10%、最大斜度24%
[コッペンベルフ] 区間距離600m、平均斜度11.6%最大斜度22%
[オウデ・クワレモント] 区間距離2200m、平均斜度4%、最大斜度11.6%
[ボスベルフ] 区間距離980m、平均斜度5.8%、最大斜度11%
[カペルミュール] 区間距離1075m、平均斜度9.3%、最大斜度19.8%
[パーテルベルフ] 区間距離360m、平均斜度12.9%、最大斜度20.3%

比べてみるとフランドルの有名なコースの激坂とスペック的に遜色が無い様に思えます。そしてこの6つの激坂の中で"距離が長い傾斜がきつい坂"、それが"清水寺の激坂 / TEMPELMUUR"であり、おらが村自慢の激坂ポイントなのです。


激坂のことを調べ、この文章まとめているうちに、ブログの中の人もだんだん山形村が「日本のフランドル」に思えてきました。

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「日本のフランドル」にようこそ!「日本のカペルミュール」にようこそ!

あなたも長野県の山形村の「清水寺の激坂」を体験してみませんか?

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